認知症病棟から障害者支援施設へ作業療法の可能性を追求
作業療法士の私は、ある病院の認知症病棟で、認知症の方の治療に携わってきました。11年もの間、同じ職場に勤めており、そろそろ違う症状の方の治療に携わりたいと思って転職することに。職業安定所の紹介で障害者支援施設「仁優園」を訪ねた際、明るく清潔な空間に穏やかな時間が流れているのを肌で感じ、直感的に「いいな」と思いました。
前職では認知症の方が対象であったためコミュニケーションが困難でしたが、ここでは万全とはいかないまでもコミュニケーションができるのは魅力であり、作業療法士として新たなチャレンジができることに喜びを感じています。業界の常識にとらわれず、いろんな視点からアプローチしていきたいと考えています。
「身体が動かしやすくなった」「趣味が増えた」の声が聞きたくて
現在は障害者支援施設「仁優園」において、作業療法士としてご利用者の自立支援に携わっています。具体的には身体機能の回復および維持のための訓練の実施、日常の楽しみにつながるような趣味的活動や集団活動の提供を行っています。とは言え、自分ではベストだと思って行ったことが、ご利用者本人にとっては違っていたことも…。
あくまで対象者が「良い」と思えることを直接聞き、会話ができない方の場合は表情から心の声を探らなければならないことに厳しさを感じています。自分が関わることによって、身体を動かしやすくなったり、趣味が増えたりするなど、ご利用者が「嬉しい」と感じてくれるもとを作り出せることにやりがいを感じています。
社会的尊厳を認めなければ適切な作業療法はありえない
ご利用者と接する上で大切なのは、性格や人格、立場といった社会的尊厳を認めることだと考えています。作業療法を行う際も、ご利用者の感情をくみ取った上で実施することが大切です。例えば創作活動の場合、一般的には職員は手伝わず、一人で出来た方が良いとされています。しかしご利用者のなかには、職員とお話ししながら一緒に作ることが生きがいという方もいらっしゃるからです。
そこで私は、自分が向き合っている対象は「障害」ではなく「人」であると強く意識し、いろんな「人」を理解できるよう書籍や新聞、テレビなどからさまざまな理論や意見を吸収し、現場で活かすよう心がけています。こうした私の思いを理解し、応援してくれる職場環境に感謝しています。
一日スケジュール
07:40 | 出勤 |
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08:45 | 集団作業療法実施 |
09:45 | 朝の申し送り | 10:00 | 創作活動実施 |
11:00 | 昼食 |
12:00 | 個別作業療法実施 |
13:40 | 不定期でケア会議 |
16:00 | 月・火曜は集団活動実施 |
16:45 | 夕の申し送り |
17:00 | 作業療法経過記録の記載 |
17:30 | 業務終了 |